歯周病と全身疾患との関係
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心臓疾患にかかって致命的な心臓発作を引き起こす確率は、歯周病患者のほうが歯ぐきが健康な人に比べて約3倍も高いことがわかっています。
また歯周病が進行するとほおっておくと最終的には歯肉の毛細血管に入り込み、血液に混じって体中を巡り始めます。
心臓の弁膜に引っかかって増殖をはじめ心内膜炎を起こすことがあります。
また心臓の周りにある血管の内側の壁にとりついて、プラークの一種の粥状の堆積物をつくるのに手をかし、少しづつ血管を狭める働きをするのです。
やがて血管がつまり流れが滞ってしまいます。冠動脈がこの状態になると心臓の筋肉に酸素や栄養素が行き渡らなくなり、運動能力が減退したり停止して心臓の筋肉が死んでしまい、狭心症や心筋梗塞を引き起こすのです。
ほかの動脈に行けば同じように動脈硬化を起こすし、脳の血管に行けば脳卒中を起こすこともあります。
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歯周病菌が肺炎の原因菌と一緒に肺への入り口である気管を通り、気管支から肺へと感染して炎症を引き起こす、という経路がわかっています。
また最近歯周病菌は呼吸器に炎症を引き起こすほかの病原菌が気管支や肺に住み着くのを助ける役割を持っていることもわかってきました。
唾液を誤って気管に入ってしまっても若い人は咳をしてそれを出してしまいますが、お年寄りなどはその咳をするという反射が弱まっているので、歯周病菌を含んだ唾液を気管から肺へ入れてしまい、肺炎の原因になることも多いそうです。
ですから寝たきりのお年寄りには特に注意が必要です。
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糖尿病にかかると、体がだるいだけでなく、網膜症や腎臓病など、全身の疾患に悩まされることになります。
さらに、体中の悪玉細菌と戦う機能が極端に低下しますから、歯周病菌にも十分にも抵抗できず、口の中での増殖を一方的に許してしまいます。
そのため歯周病はどんどん悪くなっていき、糖尿病性歯周病とでもいった状態に陥ってしまうので歯周病は糖尿病の合併症といわれています。
歯周病を治療せずにそのまま放置しておくと、口の中に生じる炎症や感染の持続によって血液中にTNF-αなどのサイトカインの量が増え、脂肪組織や骨格筋の細胞のインシュリンに対する抵抗性を高め、インシュリンを作用しにくくしてしまう。また炎症によって生じた物質のCRP(C反応性タンパク)などは肝臓の働きを鈍らせ、グルコース(ブドウ糖)を分解する能力を低下させます。
インシュリンは血液中の糖の濃度を下げるホルモンなのですが、之がうまく作用しなくなると血液中の血糖値をコントロールすることが困難になり、血糖値が上がり、糖尿病は悪化傾向をたどって、同時に病原菌感染をおさえる能力や創傷治癒能力までが低下していきます。
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歯周病患者では、早産が多く、低体重児出産の確率が健常者の7倍!
アメリカで、妊婦さんにとって衝撃的なこんな数字がでています。
その原因の一つとして歯周病菌が腫れた歯肉の血管から血液中に入り、それが羊水内に入っていって胎児の成長に影響し、予定通りに生まれても小さめの赤ちゃんになると考えられています。
また歯肉の炎症が広がると血液中にプロスタグランディンという物質が増えますが、之が出産時に胎児を外へ押し出す際、子宮を収縮させるために分泌されるものと同じもので、早産につながると考えられています。
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ヘリコバクターピロリという菌の名前を聞いたことがありますか?
これは胃炎や胃潰瘍を引き起こす細菌といわれています。
最近ではこのピロリ菌と口腔との関連が解明されつつあり特に口臭の強い人の30%ほどはピロリ菌が関与しているのではないかとも言われています。